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医学と診療の狭間で考えること
(いわき市医師会報1997年6月号より)

いわき市医師会員 石井 正三

1 はじめに
 新年度に入って今回の保険改正を体感してみると、現場の医療とは微妙に乖離して進み不協和なモアレ現象が増し、細やかな配慮が求められる医療に保険のもう一層煩雑な事務的面倒が被せられている事を改めて感じます。もっと言えば底意地の悪い舞台で心進まない踊りを踊らされているような居心地の悪さを覚えるわけです。
 小生は若い折に、当時ヨーロッパ脳神経外科学会会長を務めるハンガリーのPasztor教授の率いる国立脳神経外科病院に留学する機会を得ました。そこで見たものは、共産国家であった彼の国の医療の於ける、一方で徹底的に平等化した機会均等および国全体に充実した社会福祉制度ともう一方で統制経済故の窮屈さでした。当時、総医療費抑制の名の下に行われていたレントゲン撮影の枚数制限や薬剤投与の抑制等の諸施策は、その後の医療統制の進展と共に次々と我が国で身近なものとなって来ています。自由主義経済の勝利を声高に叫ぶ我が国で行われている医療の現場は、驚くほど旧共産主義国家の統制経済と相似してきているわけで、いわば鏡の国から戻ったアリスのような心境になるのです。

2 今世紀の医療
 近年の医療事情を見ていますと、目まぐるしい変化に眩暈を覚えるのみならず、先行きの視野の不透明感に大きな問題を感じます。他の分野と同様医療の面でも20世紀は先行した先人達の業績を礎として、西洋医学の導入とその定着の歴史でもあったように考えられます。その中で、社会的には国民皆保険の実現した時点までは、西欧先進国に「追いつけ・追い越せ」という創生期の活力と熱気が残っていて、社会全体が一つの価値観を共有出来ていた、有る意味で良き時代でもあったように思われます。戦後の価値観の絶頂期であったバブル時代の崩壊と相前後して、近年の医療も又様々な価値変動の渦中で、一度脅かされた存立基盤の再構築と新たな努力目標の明示が確立されないまま、一度掌中に収めた国民皆保険の護持を金科玉条とした、彌縫の策によって議論され運営されてきているように感じられます。これは原因治療を欠いた栄養管理の延命策に等しく、先人達の高邁な議論に匹敵するのは困難です。

3 今日の医療体制
 中央制の土俵の上で改訂を重ねた結果、現在の指導料・管理料・読影料等全ての医療行為の評価の細分化を招き、診療行為や治療行為のグランド・デザインとしての医療の総合評価が蔑ろにされてしまっている感があります。今秋の改訂で、窓口薬剤負担増が実は患者さんつまり国民負担増ではあっても、医療機関の値上げでなく支払う保険システムの負担減でしかないことは案外浸透していません。断片化してその依って立つ理念の希薄化した現在の保険制度は、大きく変化すべき時を迎えていると考えます。年単位で繰り返し改訂を重ねた結果、保険制度は益々煩雑化し、然もいちいち細目まで子細に検討しなければならない当事者である医療機関にとっても、方々にある落とし穴や小さな切り詰めに気付きません。医療機関でも患者さんでも理解を超え、「請求のプロ」が余りに求められるような現在の保険診療体制はもうその役割を終わらせてはいかがでしょうか。

4 これからの医療への提言
 今後の保健医療体制はもう一度平明な体系に切り替えた方が良いと考えます。例えば包括化の導入を検討してはいかがでしょうか。勿論、多様な各地方や現場のニーズに合わせた評価システムと一緒に構築されることが前提ですが、医師の立場でも国民に説明困難な点数や項目の多い今の評価システムにこだわって頑張るよりも努力が報われるのではないでしょうか、東京で総てを交渉し合意することより、地域の皆さんに、守るべき身近な医療の現実のコストとこれからの医療の発展へ考えるべき先行投資の価値を理解していただく事が大切だと考えるからです。
 また、移植医療や際限のない高度医療の要求、それに食費を含めた高いアメニティへの希望まで応じるためには、自動車保険で見られるような強制と任意保険の二本立て形式も現実的であると考えます。高度な高額医療に自費負担を導入すれば、通常の診療部分の保険診療を護ることにもなります。その上で高額医療の部分は国民の要望と支持の程度によって、漸次育成されて行けば良いのではないでしょうか。
 科学の一分野である医学の担い手として、又、その実践者としての矜持をもって、変わりつつある医療の現場を21世紀にも通用するものとする為に、もう一度医療行為の平明な総合評価の方法論を自らの主導で形にし社会に問いかける時期に来ているように思われます。


 

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